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2017.04.01
歯間ケアしてますか?
お口の中には、歯ブラシの毛先が絶対届かない部分があります。それが、歯と歯の間の隣接面と言われるところです。歯ブラシが届きにくい構造をしているため、歯ブラシだけの清掃では、口の中の汚れの40%ほどが歯間に残ったままになってしまいます。全体の汚れの40%とは、決して少なくない印象を持たれると思います。もはや、歯間ケアあっての口腔内セルフケアなのです。
ほぼ半分の汚れを除去するための歯間ケア用品には、フロス(Y字ホルダータイプ F字ホルダータイプ ロールタイプ)歯間ブラシがあります。
お口の状態によって使い分けます。例えば、歯と歯の間が広めのところやブリッジが入っているところ、歯間歯肉の腫れがあるところには、歯間ブラシをおすすめします。
そして、的確で丁寧な歯周ポケットからの清掃のために、老若男女問わずフロスを使っていただきたいと考えています。
つまり、歯間ケア用品の併用が必要な方もいるのです。
補助道具にとどまらず、主役級の歯間ケア用品ですから、一日一回できたら夜のブラッシングの時に使ってください。
やり方を文章で説明することは、大変難しいです。
ぜひ歯科衛生士から、効果的な使い方の指導を受けてください。私たちは、歯間ケアの習慣化を応援します。 -
2017.02.19
むし歯予防にフッ素
むし歯予防=フッ素利用と言われていますが、フッ素について説明していきたいと思います。フッ素(F₂)は単体で存在することができない元素で、フッ化物として(例えばNaF CaF₂など)存在します。
ここでは、フッ化物のことを一般的な言い方として”フッ素”と呼ぶことにします。
フッ素は、空気中、土壌、湖や川の水、海水などすべての自然環境に存在しています。この大地の恵みであるあらゆる食品に、フッ素は存在しているのです。
『フッ素がむし歯予防に効果的な理由』
①フルオロアパタイトの生成
他の3つの働きと違い、全身応用で行うことによる効果です。水道水にフッ素を配合するなどからの効果ですが、日本では行われていないことです。
②エナメル質の結晶性の改善
特に萌出間もない未成熟で反応性が高い歯に効果があります。歯科で塗ってもらう高濃度のフッ素が効果的です。
③再石灰化の促進
歯の表面に付着しているプラークが、飲食物を摂るたびに酸性に傾き歯面を脱灰させます。その後、唾液の働きにより歯の表面は再石灰化されます。この脱灰と再石灰化は飲食物を摂る回数だけ繰り返されます。
一日のうちで、脱灰時間が多いとむし歯の発症や進行につながるのです。フッ素は、歯の耐酸性を上げる働きがあります。
それには、毎日のフッ素洗口、フッ素配合歯磨剤を毎日使うことがより有効です。
④細菌・酵素作用の抑制
フッ素が、プラーク内の細菌が発生する酵素の活動を阻害し、むし歯の原因となる酸の産生が抑制されます。
当院で取り入れている高濃度フッ素歯面塗布は、リン酸酸性フッ化ナトリウムゼリーを使用しています。ちなみに、お味はやや酸味のあるリンゴ味です。
これはフッ素濃度が高いため、歯面塗布することで萌出直後の歯の結晶性の改善に効果的です。つまり、エナメル質表面から直接フッ化物を作用させることにより、歯質を強化し、むし歯になりにくくすることを目的としています。
萌出直後の歯に塗布することが効果的なのは、萌出したての歯は未成熟で、反応性が高く、そのために歯の表層からのフッ素の取り込み量が大きいからです。
では、いつから塗り始めるのがいいのでしょうか?
それは、生後数か月の乳前歯がはえてからです。12歳臼歯が萌出しきって2~3年の間は、確実に定期的に塗ることにより虫歯になりにくい歯になっていくと考えられます。
口腔内を清掃してからの塗布がさらに効果的ですから、定期的に継続していくことを考えると、カムカムクラブで約束された3か月ごとに塗ることが安心です。
フッ素は主に子供のむし歯予防のためのものと理解されているようですが、大人にもおすすめしています。
・酸に対して強い歯を作ること
・再石灰化を促進させること
・細菌が酸をつくりにくくすること
によるむし歯予防は大人も共通です。さらに、大人特有のルートカリエス(歯の根の表面のむし歯)予防に効果的だからです。
フッ化物洗口のむし歯予防効果は、厚生省も認めるところです。当院でも活用しているフッ化物洗口は、フッ化物イオンを歯の表面に作用させることをねらいにしています。
歯の表面は、毎日酸の影響により脱灰が起こり、その後修復としての再石灰化が行われることを繰り返しています。
フッ化物洗口を毎日習慣的に行うことで、再石灰化の促進につながり”むし歯予防”になるという訳です。
まだうがいができないお子さんには、スプレー塗布などで対応してもらい、習慣化の足掛かりにしてもらいます。ブクブクうがいができるようになると、口の中全ての歯にまんべんなくゆきわたるように、30秒間音をたてる意識でうがいをしてもらいます。
1日1回のうがいの習慣をつけてもらうために、いつも同じ時間帯 いつも同じタイミングで行うことが大切だと思います。
フッ化物洗口をした後、少なくとも30分はうがいをせず、飲食物を摂らないようにしたほうがいいことを考えると就寝前がおすすめです。
習慣づくりの点からいうと、時間に余裕があるときというのも選択肢のひとつですから登園前、登校前というのも良いかもしれません。ご家庭により、さまざまでいいのです。
当院で使用しているフッ化物溶液は、保存料無添加です。必ず冷蔵保存と粉末を溶かしてから1か月という使用期限を守っていいただいています。長期保存できませんが、長く使い続けることができる価格です。
ぜひフッ素の予防効果を知って、赤ちゃんの時からの使用をおすすめします。 -
2017.02.04
「プラーク」って何者ですか?
プラークとは、歯の表面に見られる付着物のことです。それは、歯の汚れや垢というよりも『細菌がパックされたもの』であることがわかってきました。プラークとは細菌のかたまりで、プラーク1mgあたりに10億個( ゚Д゚)もの細菌が存在するといわれています。お口の二大疾患である『むし歯』『歯周病』の原因菌ももちろん含まれるのです。
例えば・・・・・
①ミュータンス菌 きわめて強く歯に付着し、むし歯発生に強く関与する菌。全身疾患の原因にもなります。
②ラクトバチルス菌 むし歯を拡大させることに関与する菌。
③歯肉炎を引き起こす連鎖球菌(丸い菌が連なり鎖のように見える菌)、放線菌、グラム陽性桿菌(棒状円筒状の菌)。 これらは、主に歯の表面についているプラークに存在します。
④歯周病を引き起こす桿菌(棒状円筒状の菌)、スピロヘーター(らせん状の菌)、グラム陰性嫌気性(酸素を嫌う)球菌。これらは、主に歯周ポケット内に存在します。外から見えないところで、バイオフィルムを形成して、歯の周りの組織を破壊する危険な菌です。
バイオフィルムは、ぬるぬるとしたものと水のあるところで形成されるもので、いわゆる『ぬめり』状のものです。バイオフィルムは、ぬめりに保護されているために抗菌薬などに対して抵抗性を示します。
プラークを、歯ブラシやフロス等により機械的に除去することが必要なのは、このぬめりの性質のせいなのです。
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2017.01.22
フッ素入り歯磨剤の効果的な使い方
現在、主要銘柄の歯磨剤のほとんどにフッ化物が配合されています。このフッ化物配合歯磨剤の”むし歯予防効果”は明らかですが、より効果を高めるための使い方をお伝えします。
むし歯になりやすい歯間部分やかみ合わせの溝にしっかり届かせることが大切です。さらに、むし歯になりやすい下顎大臼歯、次いで上顎大臼歯を意識してその部分から先に始める意識を持ちましょう。一日2回以上の使用をおすすめします。特に、就寝中は唾液分泌が低下し、フッ化物を長時間口の中に留まらせることができるため、寝る前に使うことがより効果的です。
〜フッ素が口の中に長くとどまるテクニック『イエテボリ法』の手順〜
①ハブラシを軽く濡らす 完全に乾いていると歯ブラシの毛束の根元に残りやすくなり、濡らしすぎると歯磨剤が希釈されてフッ化物濃度が低下してしまう
②ハブラシに1.5g(生後6か月~2歳切った爪程度 3歳~5歳豆つぶ程度 8歳~9歳0.7g 10歳~1.0g程度)の歯磨剤つける
③歯磨剤を吐き出さぬまま2分間ブラッシング
④その後も吐き出さずに10mlほどの少量の水で、30秒間ブクブクうがい
⑤吐き出して終わり
⑥吐き出した後はうがいしない
⑦ブラッシング後、2時間は飲食しない
上記は、むし歯予防のためにフッ素を反応させる時間として2分と提案しました。歯肉炎、歯周炎の予防には、歯の根元のプラーク除去が重要となりますので、これらのプラークをていねいにしっかりと取り除くことが必要になります。
歯肉炎歯周炎予防とむし歯予防を兼ねたブラッシングでは…….
最初歯磨剤を使わずにていねいにプラークを落とすブラッシングをした後、最後の2分間でフッ素入りの歯磨剤を使うのが良いでしょう。
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2017.01.08
何のためのブラッシング(歯磨き)ですか?
かたい言い方をすると、ブラッシングをする理由は『プラーク(歯垢)の毒素によっておこる害を減らすために、プラークを口の中からできるだけ排除すること』なのです。
プラークは、むし歯や歯周病の原因となる細菌の塊です。細菌の集合体は、同じ場所に長く居座ると……においを発生します。そのようなことを踏まえて、考えてみました。
①生活習慣のリズムを作るため
口は食品を取り込む入口であり、食品を消化させる器官の入り口です。食事に使った食器を洗うように、食事の後の口の中を清潔にする習慣は当然で大切です。
②人と接するにあたってのエチケット
見た目の歯や歯肉のきれいさは、印象に大きな影響を及ぼします。また、対話などの際に口臭の影響は大きなものです。
③むし歯予防
むし歯菌は、プラークとなって歯の表面に付着し、糖質から酸を作り出します。その酸がむし歯を進行させていくのです。だから、酸を発生させるプラークの排除がむし歯予防になります。
④歯肉炎の治療・予防
歯周病の初期症状の歯肉に限局した炎症は、プラークの量を減らせば腫れも治まります。
⑤歯周病の治療・予防
歯周ポケットの中に潜む歯肉縁下プラークは、ここでバイオフィルム(ぬるぬるした基質)を作り、歯周組織を破壊します。この外から見えないプラークの中にいる細菌が最も危険です。だから、徹底的に排除する必要があるのです。将来、歯を失わないようにするために大切なことです。
⑥全身の健康のために
ぬるぬるとした基質であるバイオフィルムの毒素は、歯周病の病巣に開いた血管を経由して全身に散らばっていきます。アルツハイマー 大腸がん 糖尿病 高血圧症 などの病気の人の病巣から歯周病菌が発見された例があります。
あたりまえに毎日やっているブラッシング、その意味について改めて考えてみました。
ドクタープロフィール
原歯科医院 院長
原 英次
詳細はこちら
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